眠る向き

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新婚当初、天使夫はいつも悪魔嫁をギュウウッと抱きしめてご就寝でした。
こんなに全身全霊、ギュウギュウ抱きしめて寝るのは疲れると思われ、
きっと新婚の間だけだと思っておりましたが、
何年経っても、重なりあって寝ている子犬のような密着度で、
相変わらずギュウギュウ寝でございます。
(お互い完全に眠りますと、自由に寝返りを打ち始めるのですが)
そんなある日、天使夫が言いました。
天使夫
「ねぇ、悪魔嫁さん。
 今日、寝る位置を変えてみない?」
悪魔嫁
「どういう事?」
天使夫
「いつも悪魔嫁さんが奥、僕が窓側で寝てるでしょ?
 それを左右逆にしてみない?」
悪魔嫁
「えー。窓側イヤです(即答)なぜ?」
天使夫
「あのね。何年も同じ向きで寝てるでしょ。
 悪魔嫁さんが左の身体を下にして、
 僕が右側の身体を下にして、ギュッてして寝てるでしょ。
 たまに変えた方が、身体の歪みに良いんじゃないかと思ったの」
悪魔嫁
「身体の歪み?お互いまっすぐに寝ればよろしいのでは?」
天使夫
「イヤだよ!僕は悪魔嫁さんを抱きしめて寝たいんだよ」
悪魔嫁
「位置を左右入れ替えなくても、お互い背中を向けて眠れば、
 いつもと別の側面で眠れますよ」
天使夫
「ひどーい!!そんなの絶対ダメ!!
 僕はもっとギュッとして寝たいのに」
悪魔嫁
「身体の歪みに良いんでしょ」
そんなに気にするなら、抱きあって寝なければ良いと思いましたが、
結局天使夫がグイグイといつもとは反対側のベッドに割り込み、
彼の希望通り、いつものように抱き合いつつも、
身体は左右逆にして眠る事が成功されたのでございました。
ちなみに、毎日抱き締められながら寝るなんて、
とんでもなく疲れそうだと思っておりましたが、
意外と慣れます。

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