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(「母になる」ということ5のつづき)
しかし、そんな悪魔嫁の意識を変えたのは、
天使夫の意識の変化でした。
主人は、いつものように私を抱きしめながら、言いました。
天使夫
「悪魔嫁さん。ありがとう。
僕も、前は子供が欲しかったけれど、
悪魔嫁さんとの生活が楽しすぎて、
もう少し2人で居たいと思うようになったよ。
僕はね。子供が居ても居なくても、
あなたと一緒に居られれば幸せなんだよ。
もし子供が生まれても、
あなたが1番大事であることは変わらないよ」
悪魔嫁
「ふん。どうせあなたは、私との生活が大変すぎて、
子供なんてとんでもないとお思いになったんでしょ」
天使夫
「違うよ(ぎゅううううううう)。
あなたが僕にとって『大変』って思ってるようなことも、
ぜんぶ含めて、僕は楽しいんだよ。
悪魔嫁さん、大好きだよ」
―――僕にとって、何よりも大事なのはあなた。
子供より何より、あなたが最優先なんだよ―――
・
・
・
自分でも理解できていない、
私が本当に欲しい言葉、欲しい対応を、
主人はいつも与えてくれます。
天使夫は、悪魔嫁以上に、
悪魔嫁を見抜けます。
私は、主人がどう言ってくれれば、
自分も子供を欲しいと思えるようになるか、
自分で理解できているわけではございませんでした。
けれど、子供を欲しがっていた主人が、
「2人でも幸せ」と言ってくれたとき、
私は初めて真剣に「母になること」と
向き合えるようになった気が致します。
それまでの私は、
あまりにも主人との生活が幸せ過ぎて、
変化したくなかったのかもしれません。
それからようやく、
私は妊娠を待つようになりましたが、
望めば簡単に授かれると思っていたあかちゃんは、
すぐには宿ってくれませんでした。
でも、私は、あの後すぐ妊娠できなくてよかったと、
今は思っております。
妊娠できず、悲しんでいる自分を発見できたからです。
どちらの所為というわけでもないのに、
私は主人を責めましたが、主人はやはり動じませんでした。
天使夫
「ごめんね。悪魔嫁さん。
大丈夫。僕、何でもしてあげるよ。
悪魔嫁さんの為なら、何でもしてあげる。
あなたにとって、世界一良い夫になるからね」
もし2人が子供を授かるとしても、
授からないとしても、
こんな気持ちの変遷をお互いに辿れた事を、
とても幸福に思います。
私が妊娠を望むようになったのが、
ごく最近の事ですので、まだ先々は分かりませんが、
安易に子供を持とうと思えなかった悪魔嫁には、
ある想いがございました。
それは、
「2人の生活なら今のままでも十分だけれど、
子供の教育の為なら、いくらお金があっても良い」
という考えです。
成長後の判断は子供に任せますが、
選択肢を増やすことなら、
親にもできるかもしれません。
もし子供に恵まれなくても、
家族により多くの援助が叶います。
悪魔嫁の好物はあくまでも綺麗な魂ですが、
そういう理由で、
相変わらず守銭奴なのでございました。
(完)