天敵は「自転車」

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天使夫
「ダメだよ、悪魔嫁さん、こっちにおいで
 (道の脇へと悪魔嫁の手を引く天使夫)」


悪魔嫁
「あちらが避ければよろしいのよ」

悪魔嫁には天敵がございます。
それは、「自転車」です。
法が改正され、現在自転車は、
歩道を走行する際、
ベルを鳴らして人を威嚇する事は、
禁じられております。

要するに、歩道を歩く場合は、
歩行者こそが最優先されるべきであり、
徒歩の私が1番大きな顔で歩けて然りなのです。
にもかかわらず、
「そこのけそこのけ自転車サマのお通りだ!」
状態のライダーの、何と多い事でしょうか?
特に、自転車の前後に幼児を乗せている走行者。
これは1番いけません。
以前、私がアトリエへ向かおうとしていた時のことでございます。
背後から悪魔嫁を追い越して走行する自転車が一台。
前後に幼児を乗せ、さらに荷物も多く、
ふらふらヨロヨロと走行中でございました。
と、悪魔嫁の目の前で、
車道側のガードレールにゆっくりと傾いていき、
あわや転倒。
前後の幼児がアスファルトの歩道に自転車ごと横転し、
泣き始めました。
母親は完全にパニックになってしまい、
「どうしよう」しか仰いません。
前方に乗っていた特に小さな子は流血。
ただ、近くにその子のものらしき歯が転がっており、
ほとんどが口中からの出血のようでした。
歩道に小さな血溜まりができ、
道行く人たちは「救急車呼びましょうか」
と言いつつ、呼びません。

はあ?さっさと呼びなさいよ。

身体を動かしても痛くないか聞いてから、
後方の男の子を自転車の下から出すと、
悪魔嫁は内心半ギレで救急車を呼びました。
日本ではまだ救急車は無料です。
無料だから気軽に呼んで良いわけではございませんが、
大人にとって小さな血溜まりでも、
1~2歳の幼児にとっては少量とは言えないでしょう。
週末ですぐ傍に開いている病院もなさそうで、
止血も必要でしたが、
ヘルメットも無しで頭の強打が気になります。
以来、ただでさえ疎ましく思っていた自転車嫌いに磨きがかかり、
自転車が走ってくるだけで敵対視しております。
先日も、おそらく子供を保育園へ連れて行く途中だったのでしょうが、
また自転車に小さな子を乗せた女性が、
人にぶつかりそうになりながら、全力疾走しておられました。
誰か怪我をするくらいでしたら、
遅刻すれば良いですよね。
遅刻したら死ぬの?

悪魔嫁
「私が首相になった暁には、自転車を完全撤廃するわ」


天使夫
「悪魔嫁さんは、自転車乗れないもんね」


悪魔嫁
「私は全く困りません」

そんなわけで、天使夫はいつも、
悪魔嫁が自転車に飛びかからないよう、
細心の注意を払って歩行しているのでございました。
自転車での走行時には、
私の気分を害さないよう、
くれぐれもお気を付け下さい。

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