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悪魔嫁「103階でも、竹の足場で工事を敢行なさったのかしら?
風だけで吹き飛ばされそうですけれど」
その日はアフターヌーンティーを始められる時間が読めず、
結局17時までお茶を楽しみ、19時から別のホテルのレストランへと赴きました。
アフターヌーンティーを愛する貴女でしたらご存知でしょうが、
3段プレートのお菓子と軽食を詰め込んだ直後の人のお腹は、
フルコースが収納されるだけの余地を残していないものです。
しかし(いつかブログで備忘録的に書こうと思っておりますが)、
新婚旅行も食い倒れの旅に近かった天使夫と悪魔嫁は、
そんな事で美味しいものを諦めたりは致しません。
そのレストラン(中華)では、ベジタリアン用のコースが用意されており、
私たちはめげずに1番軽いそのコースを注文致しました。
ベジタリアンではございませんが、
お腹と相談した結果、おそらくはそれが限界と判断した為です。
結果は、動物系の物を一切使用していないとはとても思えない、
華やかな味付けの連続で、ベジタリアンでなくとも、
お腹が満腹気味であれば、きわめて満足のゆく味わいでございました
(オイスターソースすら使って居ないそう)。
その夜は、
悪魔嫁「トリュフとキャビアと燕の巣ですって。
成金趣味全開ね。キャビアは動物性よね。
燕の巣は植物性と言えますの?」
天使夫「海藻で出来てるなら、そう言えるんじゃない?」
悪魔嫁「海藻なはずナイわ。燕の巣は、燕の唾液の産物でしょう?」
これが私どもの議題となりました。
天使夫がウエイターに訊いたところ、
ウエイターさん「とんでもない!燕の巣は海藻ではございません。
他の燕は泥や草木などを巣作りに用いますので食材に使えませんが、
これはそういったものではございませんので」
天使夫「燕の唾液は…」
悪魔嫁「海藻でないと分かれば十分よ。
燕の唾液が動物性に値するかを議論するには、
彼は忙しすぎると思うわ」
天使夫「このお店では、燕の唾液は菜食の範疇なんだね」
悪魔嫁「そういう事だわ。
だいたいベジタリアンだって色々ございますもの。
より厳格な一派には、生き物を殺さなければOKという思想もあるそうよ」
天使夫「植物も?」
悪魔嫁「そうよ。落ちた果物だけが、連中の食糧というわけ」
天使夫「変わった考え方だね」
悪魔嫁「燕の唾液を高級食材と考える人間だって、十分変わってるわ」
最後にプチフールが運ばれてきて、
まさか日本語で上記のような話題が繰り広げられていたとは知らない、
ウエイターさんがお訊ねになりました。
ウエイターさん「ご満足頂けましたか、マダム?」
悪魔嫁「ええ、とっても。唯一の心残りは、ベジタリアンじゃないコースをお願いできなかった事よ」
ウエイターさん「お口に合いませんでしたか?」
天使夫「妻と僕はベジタリアンじゃないんです。ただ、17時までお茶をしていたので、
これ以上は入らなかったんですね」
悪魔嫁「次回はお腹を空かせて参りますわね」
ウエイターさん「それでは、19時で早めのディナーをお楽しみ頂きましたので、
時間を空けて、もう一度遅めのディナーにいらっしゃいますか?」
天使夫と悪魔嫁は、顔を見合わせ、
彼に再訪を約束して店を後にしたのでございました。
↑ちなみに、置いてある外側のお箸は取り分け用なので、
香港では写真の白いお箸で物を口に運ぶのはマナー違反。
日本では、取り分けを前提に、
二膳お箸が据えられている事はまずございませんから、
ちょっと面白いですよね。