私のユキコ道実践記(最終回)

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ユキコ先生は仰いました。
「人を愛するとは、
 相手の自由を尊重すること」
人は本当に愛している人には、
自由を与えるものであると。
そうしないのは、
ただ相手を支配したいだけ。
どんなに自由を与えたところで、
男性は惚れている女性のもとへ、
必ず戻ってくる。
その女性との居心地が良ければ、
言われなくても戻ってくる。
私もそう思います。
でも、私が一生傍に居続けるとしたら、
それは私に魂を売り渡してくれるような男性です。
愛だけでは、契約は成立しません。
「残りの人生はすべて、あなたのもの」
「自分はあなたの所有物」
「一生一緒に居る為、
 あなたに尽くし続ける事に生涯を捧げる」
天使夫と悪魔嫁の婚姻は、
このような誓いのもとに成立しました。
私の密かな悦びは、
魂の美しさが、容姿のように、
簡単には人の目に見えないこと。
おかげさまで、
良いお取引きができました。
披露宴の席で、
天使夫のおじさまが、
次のように仰っていました。
「悪魔嫁さん。僕はね。
 幼い頃の天使夫くんを見て、
 はじめて自分も子供が欲しいと思ったんだ。
 彼はね。子供の頃から天使のように無邪気で、
 本当に可愛くてね。
 彼の良さは、職業や学歴や肩書きじゃなく、
 彼の人柄なのだけれど、今時の女の子はどうも分からないらしい。
 だから、彼と出会えた悪魔嫁さんは幸せだと思うし、
 彼の良さを見抜ける悪魔嫁さんと結婚できた天使夫くんもまた、
 幸運だと思うんだ」
これが天使夫にとって幸運だったかは分かりません。
でも、天使夫と悪魔嫁は、ある夏、
二人きりで、夏でも薔薇が咲き乱れる地へと赴きました。
そして、そこにある「白の間」で、 
天使夫は漆黒の婚礼衣装に、
悪魔嫁は純白の花嫁衣裳に身を包み、
はれて夫婦となったのでした。
これで私のユキコ道実践記は、おしまいです。
今でも、ユキコ道は素晴らしい考え方だと思っています。
けれど、私は、もうユキコ道を完璧に実践する、
エレガントな淑女ではなくなっていましまたので。
(私のユキコ道実践記~完~)

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